気象データの利活用事例集(WEB版)

気象情報に基づく橋梁の大気腐食モデル開発

企業・団体名

取り組み概要


腐食環境地図(地理院タイルを加工)

腐食データに対して気象データを特徴量とする機械学習から鉄鋼材料の腐食速度の予測モデルを構築し、その得られた解析値をGISソフトウェア上で国土地理院の数値地図と重ね合わせることで、高精細で識別性の高い1kmメッシュ(3次地域メッシュ規格)の腐食環境地図(腐食マップ)を作成しました。

今後、物質・材料研究機構が蓄積する長年の腐食データと同期させ、社会インフラや産業インフラの外面腐食の進行や腐食判定に役立つ腐食マップのプラットフォームの構築を目指してゆきます。

対象者

建設コンサルタント(橋梁設計)、インフラ管理者

気象データを利用した背景・経緯

鉄鋼材料は水分や塩分にさらされ続けると一般に腐食しやすくなりますが、例えば降雨は水分供給という点で腐食を促進する負の効果と、構造体に付着した塩分が雨で流される正の効果があるなど鉄鋼材料の腐食に気象因子が複雑に作用するため。

利用している気象データ

気温(平均・最高・最低)、降水量、日射量、日照時間、風速、相対湿度

気象情報以外で利用しているデータ

インフラ構造材料(ここでは鉄鋼材料)の腐食量

この取り組みの効果

本腐食地図は橋梁を対象とした腐食環境をターゲットとしておりますが、橋梁に限らず、広くさび・腐食と関わるライフラインの施設や設備に対しても、点検や予防保全といったメンテナンスにかかるサポートとしての有用性が期待できます。 

その他(気象データの利用にあたり工夫した点、困った点など)

  • 腐食因子の一つである飛来塩分量についてはモニタリングが難しいため、平均風速の2乗を代替の特徴量として用いています。
  • 日本各地での実用性を重視し、アメダス(地域気象観測システム)で観測できる気象データを利用して機械学習のモデル構築を行っています。そのため、日本全国への展開が可能となります。
  • 機械学習による予測値は3次地域メッシュ規格としているため、人口動態などの他のメッシュデータとマッシュアップも可能です。不動産管理や資産評価などへのマーケット応用も期待ができます。