気象データの利活用事例集(WEB版)

河川工事時における出水の危険性の把握

企業・団体名

取り組み概要

工事地点の出水の危険性を10~30分毎に予測して、出水の危険性がある場合には社内の工事関係者にwebやメールで警報を配信するシステムを構築・運用し、現場の安全管理に利用している。

対象者

河川工事の関係者

気象データを利用した背景・経緯

河川工事において、施工中の豪雨などにより発生する大規模な出水は、建設工事の作業員や建設資機材に多大な被害をもたらす場合があり、事前に出水規模を把握し、工事関係者に周知することは安全面や工程・コストなど経済面から重要となるため。

利用している気象データ

解析雨量、降水短時間予報、MSM(メソ数値予報モデル)

気象情報以外で利用しているデータ

河川観測所水位データ(国土交通省水文水質データベース)

この取り組みの効果

  • 河川水位の急激な上昇を数~十数時間前に予測するため、施工時の安全面や経済面に寄与する。
  • 河川工事だけでなく、増水による危険性がある河川周辺での工事にも適用できる。
  • 降雨や河川水位の状況をリアルタイムで把握できる。

その他(気象データの利用にあたり工夫した点、困った点など)

  • このシステムは配信される解析雨量や短時間降雨予測を自動で水位予測手法の入力データとして取り込めるように構築している。
  • 格子サイズ1kmの解析雨量データや6時間先までの降水短時間予報を用いるだけでなく、格子サイズは5kmで粗く予測精度は低下するものの予測時間が数十時間と長いMSMを入力値としている。これにより、予測水位を得られる時間が早くなり、余裕をもって出水対策や避難準備を講じることができる。
  • 配信される雨量データを誰もが容易にテキストデータや画像などに変換できる変換ツールを無償で配布していただけると、雨量データの活用に要する時間と手間を低減でき、雨量データの活用の範囲が広がると考える。
  • 融雪時期の水位予測には、アメダスの気温、積雪量のデータ(点データ)を用いている。今後はMSMなど面的データを用いることで予測精度を向上させることを計画している。

参考となるHP公開情報等

出水警報システム「T-iAlert® River」(大成建設株式会社HP)
https://www.taisei.co.jp/ss/tech/C0104.html