気象データの利活用事例集(WEB版)

日射量推定・予測による太陽光発電導入支援及び発電出力管理支援

企業・団体名

取り組み概要

太陽光発電事業者やエネルギーマネジメントに関わる事業者のニーズに応えるべく、日本気象協会(以下、JWA)では気象衛星データの解析技術や独自気象モデルの更なる高度化等、高精度な日射量・太陽光発電出力情報を提供するための技術開発を行ってきました。
JWAの日射量・発電出力情報は、過去から現在を対象とした「推定値」と、数分先から1週間先等の将来を対象とした「予測値」に分類することができ、それぞれ情報提供サービスを展開しています。

■日射量・太陽光発電出力の推定値提供サービス
過去から現在を対象として、日射量・発電出力の推定値を提供しています。この推定値は、太陽光発電システム導入前の事業性評価及び導入後の故障監視に活用頂いています。また、電力需給管理において広域に分散配置された太陽光発電出力の現在値把握にも活用頂いています。JWAの日射量推定値には、「衛星推定日射量」と「アメダス推定日射量」があります。
「衛星推定日射量」は、衛星データの解析技術を用いて推定した日射量情報です。例えば、ひまわり8号の観測データを基に、高頻度(2.5分間隔)・高解像度(500mメッシュ)の日射量推定値を提供しています(サービス名称:SOLASAT 8-Now(ソラサットエイトナウ))。また、太陽光発電出力の推定値も提供しています。

「アメダス推定日射量」は、全国約800カ所におけるアメダスの日照時間観測データを利用して推定した日射量情報及び発電出力情報です。この推定技術は、 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の日射量データベースに用いられており、保有する30年程度のデータセットは、特に事業性評価に利用頂いています。

■日射量・太陽光発電出力の予測値提供サービス
数分先から1週間先等の将来を対象として、日射量・発電出力の予測値を提供しています。この予測値は、太陽光発電が連系された電力系統における電力需給計画の作成や需給調整等に活用頂いています。また、HEMS(Home Energy Management System)やBEMS(Building Energy Management System)、現在実証研究が進められているVPP(Virtual Power Plant)等に活用頂くことで、エネルギーマネジメントの高度化に大きく貢献しています。JWAの日射量予測には、「衛星観測データを用いた予測」と「独自気象モデルを用いた予測」があります。
「衛星観測データを用いた予測」(サービス名称:SOLASAT 8-Nowcast(ソラサットエイトナウキャスト))は、ひまわり8号観測データの解析技術と移動予測技術を用いて、日本国内を500mメッシュ単位で数時間先までの日射量予測値を提供するサービスです。
「独自気象モデルを用いた予測」(サービス名称: SYNFOS-solar(シンフォスソーラー))は、日射量予測の精度向上に特化して独自開発した気象モデルを用いて、より精度の高い日射量・太陽光発電出力の予測情報を数日先まで提供するサービスです。

対象者

太陽光発電事業者、電力会社、電力小売事業者等

気象データを利用した背景・経緯

JWAは、1974年のサンシャイン計画発足以降、数々の国家プロジェクトに参画し、太陽光発電の普及を目的として日射量推定・予測技術の開発に取り組んできました。また、太陽光発電設備の大量導入を見据えて推定・予測技術の高度化を図り、近年では、ひまわり8号の衛星観測データの活用も実施しています。

利用している気象データ

日射量、日照時間、気温、積雪、衛星観測データ、GPVデータ

気象情報以外で利用しているデータ

太陽光発電設備の仕様及び設置状況に関する情報

この取り組みの効果

太陽光発電導入前の賦存量把握から、導入後の計画的な運用に必要となる発電量の推定・予測、発電システムの故障診断まで、太陽光発電の導入・発電出力管理をワンストップで支援しています。

その他(気象データの利用にあたり工夫した点、困った点など)

2014年7月に運用が開始された気象衛星ひまわり8号のデータを活用することで、従来のサービスに比べてより高精度の日射量情報を提供することが可能となりました。